最近は、とんと少女漫画というものを読まなく なってしまい、レディース・コミックなどに至 っては何も知らないありさまで、読むものとい えば半年に一冊ずつ出る「ガラスの仮面」の単 行本くらいなものという、大した堕落ぶりであ る。ガラスの仮面といえば、僕は、何を隠そう、 北島マヤよりも姫川亜弓の方が好きである。そ れは、もちろん、映画監督を父に女優を母に持 つ演劇界のサラブレッドといわれた姫川亜弓が、 実は「努力の人」であったからである。 さて、ガラスの仮面に代表される古典的少女漫 画が大嫌いな人も、吉田秋生の漫画は好きだと いうことが多い。先日の読売新聞の「明日の顔」 に吉田秋生のことがのっていて、最近ではベト ナム戦争とマフィアの漫画(ようわからん)を書 いておられるということだけれど、もちろん、 全然知らないので、今度本屋にいってみようと 思ったりする。その記事の中で、吉田秋生が、 「世代ごと巨大なイベントに乗り遅れているん ですよね、私たちって」ということをいってい る。学園紛争後の都立高校世代にとって、これ ほど当を得た言葉はないような気がする。そし て、そうか、このような「乗り遅れ感」が、カ リフォルニア物語を始めとする吉田秋生漫画の 根底となっていたのか、などと、勝手に納得し たりするのである。 そのように、昭和30年代生まれは、学園紛争に しろ、ビートルズにしろ、世代ごと巨大なイベ ントに乗り遅れてしまったのであるが、この業 界に限っていえば、巨大なイベントがまさに始 まろうとしているそのときであり、乗り込もう と思えばいくらでも切符はあったのである。例 えば、この業界の大立者には、西和彦を始め、 昭和20年代末から昭和30年代の生まれが多い。 そして、それにもかかわらず乗り遅れてしまっ たものは、要するに、ぐずで馬鹿なやつだった といわれてもしかたがないのかもしれない。つ まり、世代全体の乗り遅れとは裏腹に、世の中 のここかしこには、いくらでも面白いことはあ ったのである。 これからは、団塊の世代のように、あらゆる分 野に共通した世代というものはなくなり、各々 の分野ごとに世代というものが作られていくの ではないだろうか。ちなみに、この業界では、 次の中核をなす世代は、昭和35年生まれである といわれている。 さて、アメリカでは日本よりも数年早く大立者 たちが登場したのであるが、いうまでもなく、 その一人に、スティーブン・ジョブズがいる。 そして、いまや、この業界はNeXTの噂で持ち きりになっているといっても過言ではない。 光磁気ディスクやDSP(デジタル・シグナル・プ ロセッサ)のことは余りよくわからないが、はっ きりいって、僕はNeXTに失望している。とい うか、期待する方が間違っているのかもしれな い。要するに、既存の技術の集大成でしかない のである。また、マーケットを教育としたのも 非常に気に入らない。教育は、コンピュータ・ サイエンスの最後の応用分野であり、また、最 も重要な応用分野でもある。手間暇をかけてじ っくりと研究しなければならない分野である。 それを、アップルとの取り決めで競合するビジ ネス分野に参入できないからといって、また、 大した競争者がいないからといって、教育市場 に進出するなどとは、余りにもあんちょことい うしかないのである。 さて、予想は大胆な方がよいので、メチャクチ ャなことを勝手にいわしてもらうと、NeXTは 数年でつぶれる、と思う。それはなぜかという と、Macintoshの場合と比べて、既存の標準的 な技術を利用した分だけ、技術的に競合するメ ーカーが多いということである。 まずOSであるが、NeXTではMach(英語読みで はマック、ドイツ語読みではマッハ)が採用され ている。いうまでもなく、Machはカーネギー・ メロン大学で開発された分散型OSで、Machの 開発の中心人物であったPh.Dの学生がNeXTに 就職したといわれている。そのような強みはあ るが、Machをサポートするメーカーは数多く あり、また今後も増え続けるだろうと考えられ ている。さらに、分散OSはMachの他に星の数 ほどあり、どれが最高のものか、また、どれが 標準となるのかは、いまのところ定かではない。 さらに、SUNにしろ、OSFにしろ、UNIXを分 散化しているところは多い。 次にウィンドウ・システムであるが、NeXTで は、Display PostScriptを描画サーバとしたNext Stepというウィンドウ・システムが採用されて いる。まずDisplay PostScriptであるが、これは Adobeの開発ということなので、SUN NeWSと 比べて、プリンタのPostScriptとの互換性の点 で有利だと考えられる。しかし、Display PostScriptを搭載するワークステーションは、 おそらくNeXT以外にも登場し、また、SUN NeWSも、プリンタのPostScriptとの互換性を向 上させていくことは十分考えられる。 Next Stepは単なるウィンドウ・システムではな く、Interface Builder(専門的にはglue systemと いう)などのユーザ・インターフェース開発環境 を持ったユーザ・インターフェース・マネージ メント・システム(UIMS)であるということがで きる。しかし、ウィンドウ・システムをUIMS に発展させるのは世界的な趨勢であり、世界中 でXをベースにしたUIMSが開発されている。そ の中には、C++を使ったものもあるし、Flavor を使ったものもあるし、CLOSを使ったものも あるわけで、NeXTで採用されているObjective Cが有利だという根拠は何もない。 最後に値段であるが、大学価格ということで大 変安い。しかし、ワークステーション・メーカ ーが教育市場を有望と見て本気を出せば、ひと たまりもないのではないかと考えられる。 とうことで、NeXTで評価されるべきは、ポー ル・ランドのデザインしたNeXTのロゴと、フ ロッグデザインによる外観デザインくらいなも のである。 なーんてことをいっているが、キャノンの方、 東洋情報の方、そのときは、どうぞ、よろしく。 バナナフィッシュを買おうと思うM生